番犬男子





幸汰が眺める先には、光の差し込まない路地裏でタバコを吸っている、強盗犯とバイク男の姿があった。




「あの2人で間違いない?」



2人に気づかれないよう幸汰に耳打ちされ、あたしは静かに頷いた。



隠れる気あるの?

と疑いたくなるくらい、2人は余裕そうに地べたに座り込んでいる。



ていうか、こんなところでも、タバコを吸って法律違反?


悪いこと好きすぎでしょ。


即刻注意してやりたい。




気配に鈍感な2人に、幸汰が一歩近づいた。


それでもまだ、2人はあたしと幸汰に気がつかない。




「すみません」


幸汰が優しく話しかけて、ようやく2人は幸汰を視界に入れた。



「照本幸汰!?」


「双雷の幹部がなんでここにいんだよ!」




2人からしてみれば、幸汰は今突然目の前に現れた敵。


そりゃ、慌てふためいて、タバコを落とすよね。