番犬男子






「つまり、今はいるんだね?」


「うん。魁皇自体は、そこまで危険な族じゃない。でも、新しく入ってきた下っ端たちがちょっと……」



幸汰が顔を引きつらせて、言葉を濁す。



ちょっと、やばいんだね。


犯罪を堂々とやっちゃうくらいには。




「最近の魁皇は、下っ端がいろいろやらかしてて、収拾つかないみたいで。魁皇の幹部以上が手をこまねいてる状況だって聞いてる」



不良が不良に困ってるって、どんな状況だよそれ。



強盗犯やバイク男を含む魁皇の下っ端たちは、どうやら「不良といえば悪いこと。それをたくさんしたら強くてかっこいい!」なんていう意味不明な偏見を持ち合わせているらしい。



とんだバカどもがいたものだ。

どうかしている。





「だから、今回の件は都合がよかったんだ」


「え?」



「自由奔放に悪事を働いてるやつらをシメるのに」