番犬男子






「聞きたいことがあるんだけど、いい?」


「はい」


「いい?」


「……いい、よ」



たどたどしいけど、うん、合格。


満面の笑みになったあたしに、幸汰は戸惑いを這わせながら目尻を下げた。




「双雷のメンバーって、地元では割と知られてるの?」



話題の提供といえど、これは前々から疑問に思っていたことだ。



あたしが日本に来る前、いくら調べてもわからなかった双雷のメンバー構成を、格下の強盗犯は当然のように知っていた。


幹部のフルネームをスラスラ述べられるほど。



強盗犯が自分で調べたとは考えにくい。




双雷の認知度を踏まえると、地元では知られてる可能性が一番濃厚だろう。



「そうだね、知られてるんじゃないかな」



ビンゴ。