番犬男子





最小限に抑えた声量で、あたしの背中に放たれた警告。


あたしは立ち止まらずに、炭酸ジュースを振るのをやめた手を軽く上げた。



はいはい。

ご忠告、どうも。


でも、心配ご無用。



今この場に強盗犯がいて、拳銃を所持していて危ないんでしょ?


ちゃんと、現状を把握してるから。



把握した上で、接近してるんだ。





強盗犯の後ろに立ったあたしは、わざとらしく咳払いをした。



「あのさー」



反射的に振り返った強盗犯と、目が合う。


気づくの遅いよ。



こんなやつに敬語とか、要らないよね?



「そこ、邪魔なんですけど」