番犬男子





あの2人を幸汰が担当するのか。


ざわり、胸騒ぎがした。




「ちぇー、今回は幸汰かー」



若干ふてくされている遊馬を横目に、幸汰は苦笑しながら、アールグレイが注がれたティーカップを運んできた。


柑橘系の香りが、不機嫌な遊馬を癒していく。




不意に、お兄ちゃんがあたしを見据えた。



「千果」


「なあに、お兄ちゃん!」



お兄ちゃんに名前を呼ばれ、テンションが上がる。


もっと呼んで呼んで!



「お前も幸汰に同行しろ」


「……え?」



予想外の発言に、あたしの目は点になる。



というか、お兄ちゃん以外、みんな驚いている。


このことをみんなに話してはいなかったらしい。