番犬男子







お兄ちゃんの目つきがより鋭くつり上がり、おどろおどろしい迫力が増す。



「おい、どうなんだ。さっさと答えろ」


もはや、命令や尋問に近い。




強盗犯とバイク男の2人は、お兄ちゃんの威嚇に恐れをなして、一言も喋れずにいた。



お兄ちゃんは、経験上、そのことを知っている。


知っていて、あえて、意地悪く聞いているんだ。



決定的な証拠を得るには、自白が一番手っ取り早い。


あたしがお兄ちゃんの立場でも、同じことをしただろう。






長い長い沈黙が流れた。


いつまで経っても何も答えない2人に、お兄ちゃんは呆れて、そっと瞼を伏せた。




緊迫した警戒が解けたと勘違いしたのか、2人が突然反対方向に走り出した。




「お、覚えとけよー!!」



強盗犯が全身を震わせながら、ダサすぎる捨て台詞を残して。