番犬男子






強盗犯とバイク男はピクリとも動けず、ただただ顔を真っ青にさせた。



2人とも本能ではわかっているんだ。


少なくとも自分たちだけでは、侍と闘っても、手も足も出ずに負けることを。




あたしでさえ、感じる。



お兄ちゃんの威圧的な殺気を。


他者に力の差を示し、圧倒する強さを。





禍々しくて、生々しくて、神々しくて。


全てを漆黒色に染めていて。


ひどく、恐ろしい。




この人が、双雷の総長、侍と呼ばれる男。


あたしの、お兄ちゃん。




そして、これが、不良の世界。