「っ、千果さん!」 空耳だろうか。 遠くの方から、あたしを呼ぶ幸汰の声が聞こえたのを最後に、あたしは意識を手放した。 あたしが1人で去っていったことを気にかけ、バイクに乗らずに追いかけてきた幸汰に、強盗犯が気がついた。 強盗犯は幸汰から逃れるため、仲間のバイクにまたがり、気絶したあたしを乱暴にさらっていった。