番犬男子






たまり場までの道のりの途中。




あたしとは反対方向から、1人の男子が歩いてきた。


西側なのに珍しいと思ったが、ここは繁華街に近いこともあり、西側でも比較的人が通っているのだと理解した。



「……ん?」


ちょっと待って。

あの男子、マスクしてるけど、覚えがあるぞ?



距離が縮まってきて、男子のほうもあたしに気づき目を丸くした。




記憶力がいいあたしが、忘れているはずがない。


最悪な印象を焼き付けた、あの男子を。




「な、な、なんで、お前がこんなところに……!?」


「それはこっちのセリフだよ、強盗犯」




そう、偶然出くわしてしまったのは、昨日のコンビニの強盗犯だ。