番犬男子





用は済んだはずだ。


だから、あたしはもう行く。



「じゃあ俺らと一緒に……」


「バイク」


「へ?」



わざとかぶせて単語を発したら、遊馬が間の抜けた声を漏らした。



一緒じゃダメだ。


だって……。



仕方なく振り返り、公園の裏を指差す。



「みんな、公園の裏にバイク停めてるでしょ」


「あ、ああ、そうだけど」


「そこからじゃ、たまり場まで遠回りして行くしかなくなる。だったら、あたしは徒歩でたまり場に行こうって思ったの」




たとえバイクだとしても、遠回りすれば時間がかかる。


それなら、あたしは最短距離で行って、早くお兄ちゃんに会いたい。