タメ口で呼び捨てがいいのは、あたしも同感だ。
「幸汰って同い年だったんだ」
「はい」
「じゃあ、幸汰も敬語やめてよ」
「え!?」
若干オロオロして困惑する幸汰に、「ねっ?」と強く勧める。
幸汰はあたし以外にも基本敬語だ。
尊敬や礼儀からなんだろうけど、あたしは同い年だし、タメ口のほうが堅苦しくなく気楽でいい。
「え、えっと、わかりまし……じゃなくて、わ、わかった?」
渋々了承してくれた幸汰は、慣れないタメ口に未だ迷いがあるようだった。
それから、幹部以上に続いて、下っ端と呼ばれる立場の人たちも順々に軽い自己紹介をしてくれた。
完全に信じてもらえたわけではないし、「総長の妹かどうかわかるまで保留」という意味も少なからず含まれているだろう。
もしくは、これからのことを考えて名前を教えたに過ぎないのかもしれない。
それでも、あたしの言葉を真摯に受け止めてくれて、嬉しかった。



