番犬男子





いや、敬語がめんどいとかウザいとか、意味わかんないし。



でも。


自己紹介されたりタメ口だったり。


ちょっとは気を許してもらえた証なのかな。




「そうそう!敬語なんかなくていいから!」



そう賛成した遊馬が、稜の肩に腕を回した。


稜に腕を冷たくどかされ、ふてくされながらこちらを向く。




「俺は昨日言ったけど、改めて自己紹介すっか。相良遊馬、高2!ちなみに稜も高2だ。俺が副総長で、稜が幹部。よろしくな、千果!」




さらっと最後に名前を呼ぶところが、遊馬のずるいところだ。


あたしは呼び捨てに慣れてるけど、他の女子たちならころっと惚れちゃうんだろうな。




「遊馬が副総長なんだね。意外。遊馬だけはないと思ってた」


「それみんな言うのよ」


「あ、やっぱり?」



雪乃という男子と冗談っぽく笑ったら、遊馬がガチで落ち込んでしまったので愛想よく慰めてあげた。