番犬男子





一度は緩んだ空気感が、再び緊迫する。




「お前の意志はどうした」



「はあ?」

無意識に、反抗的な態度で食い下がってしまった。



笑みを消したあたしに、稜という男子は睨みを利かせる。


2人の間には、確かに火花が散っていた。



「なに言ってるんですか?」


「あ?」



稜という男子の低音ボイスが、森閑とした公園によく響いた。




「あたしの大好きな人が信じてる人たちを信じて何が悪いんですか?」



あたしが、誰かに合わせてるようなタイプに見える?

見えないでしょ?



「人に合わせてるわけじゃないです。あたしはあたしの意志で、お兄ちゃんとあなたたちを信じるって決めたんです!」



あたしに意志がないだなんて勘違い、やめてよね。