なんだろう。
急に真剣味を添えられて、首を傾げる。
「どうして、嘘だと知っていたのに、私についてきてくれたの?」
なんだ、そんなことか。
あたしは小さく微笑んだ。
そんなの決まってる。
「お兄ちゃんがあなたたちを信じているからです」
「え……?」
「だから、あたしも勝手にあなたたちを信じただけ」
自分の欲望のために欺こうとした女子たちや強盗犯とは違う。
彼らは、お兄ちゃんの……仲間のために、あたしを騙してまでここに連れて来た。
あたしは、そんな彼らの信念を信じたいと思ったんだ。
「人が信じてるから自分も?」
唯一ベンチに座りながら傍観者の立場でいた稜という男子が、今までずっと閉ざしていた口を開いた。



