番犬男子





というか、お兄ちゃん、モテすぎじゃない?



もし、あたしがその場にいたら、婚姻届を送ってきた時点で釘を刺しておくね。


お兄ちゃんはあたしが守る!





雪乃という男子が「あら」と、遊馬に物申す。




「私はついさっきも女の子たちに囲まれて、さらに告白までされたわよ?」


「雪乃はほら、誠一郎と違って、こう……なんつーか、こんなじゃん?」


「もしかして、アスちゃん、ケンカ売ってるのかしら?」


「ケンカは好きだけど、売ってねぇ!売ってねぇよ!?」




両耳についている、真っ赤な宝石を施したピアスが大きく揺れるほど、遊馬は焦って首を横に振った。



雪乃という男子と遊馬の関係が垣間見えて、あたしはつい笑ってしまった。


仲いいなぁ。




「あ、そうだ」


不意に、雪乃という男子の視線が、遊馬からあたしへとずらされる。



「チカちゃんに聞きたかったことがあるの」