「理由は2つあります」
幸汰が人差し指と中指を立てた。
2つもあるの?
「1つ目は、総長が『俺に、妹なんかいない』と断言していたからです」
総長は、彼らにとって絶対的存在。
突然たまり場にやって来た見ず知らずのあたしより、自分たちが所属する双雷の総長の言葉を信用するのは当たり前だ。
総長が『いない』と言った以上、あたしを疑うしかない。
でも。
あなたたちの総長があたしを知らないのも、当たり前なんだ。
「お兄ちゃんは記憶を失くしてるんです。今はあたしのことを忘れていても、いつか必ず思い出します!」
そう、必ず。
あたしも断言した。
これは、自分への誓い。



