番犬男子





え?


ユキノ?



って、昨日たまり場で会った、あの美形さん?




あたしはあきらめるのをあきらめた。



再び、一箇所に集まっている女子たちがメロメロになっている人を一目見ようと、ぴょんぴょん飛び跳ねてみる。


何度試みてもやはり、女子たちの壁は厚く、そう簡単に麗しいと噂の顔を拝ませてはくれない。



「あの群衆に突っ込むしかないか」



最後の手段だ。


あたしは覚悟を決めて、鉄壁の女子たちの間を潰れそうになりながらも通っていった。




窮屈な隙間をくぐり抜け、なんとか最前列にたどり着いた。




「あの、私……」



群衆の真ん中では、1人の女子が顔を赤らめながら“ユキノさん”の前に立っていた。




「ユキノさんのこと、本気で好きになっちゃったんです!」