番犬男子






しょうがない。


行き先も行き方もわかってるんだ。


1人で行こう。





呼吸が大分整ってきたところで、あたしは双雷のたまり場を目指して歩き出した。


午前中も賑わっている繁華街に入り、より一層蒸し暑さにだるくなる。




本当は、お兄ちゃんと行きたかったな。



こういう繁華街をぶらぶら歩いて、たまに寄り道しちゃったりして。


楽しいこと間違いなしなのに。





肩を落としてため息を吐きかけた寸前。



「きゃー!」



女子たちの黄色い声が耳をつんざいて、ため息を飲み込んだ。



な、何ごと?


反射的に、声のした方向に視線を移した。