返事は、ない。


お兄ちゃんも知ってたのかな。



それとも、わざと?





あたしの体力が限界に近づくのに比例して、家までの距離も縮まっていく。


お兄ちゃんは方向転換することもなく、速度を上げて走っている。




さすがに、これ以上はスピードを出せない。


お兄ちゃんの背中が遠ざかっていく。



待って、お兄ちゃん。


その声すら、荒れた息にまじって、うまく言えない。




家が見えてきた。


家の前に停めてある、お兄ちゃんのバイクに目が留まった。



まさか……!