よかった、まだ外出する前だった。
お兄ちゃんがあたしに気がついて、慌ただしく家を出た。
あたしも素早くスニーカーを履き、玄関の扉を勢いよく開けて、家を飛び出した。
昨日の雨はすっかり止んで、眩しい太陽が照りつける。
暑さに負けずに、あたしはお兄ちゃんを探した。
あ、いた!
曲がり角を曲がろうとしてる。
「待ってよ、お兄ちゃん!」
「まじでついてきたのかよ……」
全力で走るお兄ちゃんの背中を、必死に追いかける。
でも、全然追いつけない。
「なんで逃げるのー!?」
「一緒にいたくねぇっつったろうが」
そんな逃げるほど!?
いいじゃん。
ちょっとくらい一緒にいてくれたって。
後々、ちょっとじゃなくなるかもしれないけどさ。



