「そりゃあ主ですから。」 「僕にはそれだけじゃないような気もするけど。まぁ、うん…そうだね。」 「はい、そうです。」 「ヘレン。僕も何か手を考えてみる。」 「……はい、ありがとうございます。」 分かってる。手がないことぐらい。 体に走る痛み、さっき感じた『のまれる』という感覚。 誰にもどうすることも出来ないことぐらい、分かってるんだ。 それでも、こうやって私のためにと力を尽くしてくれる人がいる。 それでいい。それだけでいい。