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《side*M》


泣きながら、起きた。
朝の日差しがカーテンの隙間から漏れている。
昨日はせっかくの文化祭だったのに、私は体調不良で保健室に運ばれ、そのまま帰宅した。


どうして泣いているのか、自分でもわからなかった。
怖い夢を見ていたのかもしれない。けれど、どんな夢だったか思い出せないのだ。


起き上がり、母が作った料理を食べながらテレビを見る。朝のニュースは今日も芸能人のスキャンダルを報道していて、私たち一般人には興味のない内容だった。


朝はいつも苦手だった。なのに今は至極時間の流れが緩やかで、どうしてこんなにも脱力しているのかわからないほど、心の波がやんでいる。


昨日まで、どうしてあんなにせかせかと何事にも苛立ち、攻撃的な自分ったのかも、今はわからない。


今日、理香子に会ったら謝ろう。
なぜか、そういう気分に自然となった。
許されるとは、思わないけれど。


清々しい気持ちで家を出た。空は快晴。


新しい人生がスタートしたような気分だった。