リボンと王子様

千歳さんがソッと私を胸のなかから離した。

ずっと密着していたせいか身体が離れること、温もりが離れることに心細さを感じた。


その刹那。

ソッと千歳さんが私の左手首を掴んだ。


白いリボンが結ばれているすぐ傍に。

水色のリボンを結んだ。


「……千歳さん?」


尋ねる私に。

千歳さんは私の手首を持ち上げて、水色のリボンに優しくキスをした。


ドキン。


鼓動が耳に響いた。


私の手首を優しく掴んだまま、千歳さんが真摯な瞳で私を見つめた。

潤んだ漆黒の綺麗な瞳に私が映る。


「穂花。
俺はいつか響株式会社に戻って、責任を果たしたい。
それはいつになるか、まだわからない。
だけどその時。
俺と一緒に響にいてほしい」


乞うように言われたその言葉に言葉を失う。


「……それって……」


カラカラになった喉から僅かに零れた声。

一瞬たりとも瞳を逸らさずに、千歳さんはハッキリと言った。


「これから先の将来を俺と共に歩いてほしい。
穂花と幸せになりたい。
穂花じゃなきゃ、ダメなんだ。
今すぐじゃなくてもいい。
だから」


言葉を区切って。

千歳さんは私に幸せな一言をくれた。



「俺と結婚してください」