リボンと王子様

千歳さんはハーッと盛大な溜め息を吐いた。


「ち、千歳さん?」

「……わかってる。
穂花が何にも悪くないことも。
連絡をとっていなかった俺が口を出せる状況じゃなかったのも。
でも……」


コツンと私の額に自分の額を押し当てて、言いにくそうに言った。


「……嫉妬、してしまう。
穂花が俺を選んでくれて、それだけでもう充分幸せなのに。
俺の知らない場所で穂花が俺以外の男といることが耐えられない。
……ダメなんだ。
俺、自分で思うよりもずっと嫉妬深い男だったみたいだ。
穂花のことに関しては冷静じゃいられない。
本当は地下街で穂花にぶつかった男にも嫉妬した……。
……ごめん、俺、今ものすごくカッコ悪い……」



頼むから、俺だけを見てて。

よそ見しないで。

勝手に誰かに触らせないで。

俺だけを愛して。


耳元で懇願するかのように落とされた言葉。

仄かに赤い千歳さんの頬。

高い体温。


その言葉に。

その態度に。

もうどうしていいかわからなくなる。


顔は真っ赤だし、胸のドキドキが止まらない。


全くこの人は。

私をどれだけ翻弄すれば気が済むのだろう。


千歳さんの一挙一動に。

どれだけ私が振り回されているか知っているのだろうか。


瞳に妖しい光をたたえて。

目眩がしそうな色気のこもった表情で。


千歳さんは私にキスをした。

唇に感じるのは焼けるような熱い感触。


ほら、もう。

千歳さんのことしか考えられない……。