リボンと王子様

「千歳さんに嘘をついた状態で好きなんて言えない、言っちゃいけないって思ってたの。
気持ちを伝える資格なんてないって思ってたから」

「……え?」

「だけど千歳さんに全てを話した日……千歳さんを失うかもしれないって思って……恐くて恐くて、何も考えられなくなって思わず言っちゃったの。
でも……あれは本心なの。
本当に本当に千歳さんが……好きなの……。
どうしようもないくらい、好きなの」


最後は涙に混じってうまく言えなかった。

頬に触れている千歳さんの手に私の涙がつたう。

どうしたら。

何を言えば。

この溢れそうな想いを伝えられるだろう。



「今日も……言うつもりはなかったの。
私にできることは、きちんと謝ることだけだって思ってたから……私、千歳さんが別れを望んでいたらどうしようってずっと考えて……だから、私を避けてるんだって……」


しゃくりあげながら話す私に。


「……そんなわけないだろ……!
俺がどれだけ穂花を好きだと思ってるんだよ……!
避けてたわけじゃないんだ、ごめん……冷静になる時間がほしかったのもあったけど……だけど、それよりも穂花とのことを周囲にきちんとわかって貰えるようにしたかったんだ。
親父や親戚にも話して、縁談も全部なくして、穂花を確実に俺のものにするために。
それが終わるまでは中途半端に連絡しないようにしてたんだ……」

「……え……?」

「……穂花を不安にさせてごめん……」


千歳さんの顔がクシャリと歪む。

悲哀の切ない色が闇色の瞳に浮かぶ。


「……母さんから全部聞いた。
穂花のこと、苦しませて、辛い思いをさせて申し訳なかったって謝ってた。
……須崎社長もわざわざ謝罪に来てくれたよ。
それに……母さんが言ってた。
俺の白いリボンの話を穂花は母さんに話さなかったって。
……裏切ることはできないと言われたって。
それを聞いて……本当に嬉しかった。
穂花は俺を裏切ったりしていない。
俺のために、俺のことを考えてくれたんだろ……?」