リボンと王子様

その感触に。


ドキンッ。


心臓がひとつ、大きく跳ねた。


よく考えてみれば私はずっと千歳さんの腕の中にいて。

この体勢も、とても恥ずかしい。

少し離れようともがく私に気付いたのか、千歳さんは私を抱き締める腕に力を込めた。

離したくないというかのように。


「……ごめん。
謝らなきゃいけないのは俺なんだ。

あの日……穂花が本当のことを教えてくれた日に酷いことを言ってごめん。
傷付けてごめん。

あの時……大体の予想はしていたくせに……やっぱりショックだったんだ。
穂花に嘘をつかれた、っていう動かぬ証拠を突き付けられたみたいで。

穂花がどんな気持ちだったかなんて、冷静に考えたらすぐにわかる筈なのに……」


千歳さんはそこで言葉を区切った。

それから、小さく深呼吸をして先を続けた。


「穂花が俺を好きでいてくれることに自信がなかったから……穂花は俺の気持ちを、俺の気が済むように一旦受け止めてから、別れるつもりだったのかって……俺が見合いをすればいいって本当は思ってたのかって考えてしまって……酷いことを言った」


沈痛な面持ちでポツリポツリと千歳さんは話した。

私を抱き締める腕はそのままだ。

けれど、その手が少し震えてるように感じた。