リボンと王子様

簡潔に後を続けると。

決まり悪そうに千歳さんが頷いた。


「……よく知らない女性を横抱きとか、おぶるわけにもいかないし、ホテルの部屋に戻ったら他の靴があるって言われて放っとけないし、支えながら帰った……それだけ」


言いにくかったのか、一気に千歳さんは捲し立てた。


「嘘じゃないから。
相良さんの幼馴染みの男性がロビーに来てくれて、相良さんをお願いしたんだ。
相良さんが宿泊している部屋には行ってないからな」


……そこまで聞いてなかったんだけど……。


だけど。

必死で弁解してくれる千歳さんの姿が嬉しくて。

何だか笑いたくなった。


「ふ、ふふ……」


堪えきれずに笑いだした私を、千歳さんは怪訝そうに覗き込んだ。


「穂花……?」

「ごめんなさい。
何だかおかしくなって。
私、一人で色々邪推しちゃって……」


千歳さんはフッと夜色の瞳を和らげて。

私の額にコツンと自分の額を合わせた。

伝わる温もりに安心する。


「……酷いな。
誤解されたと思って、本気で焦ったのに。
それでなくても穂花とギクシャクしてたから……。
マンションにもいないし、連絡つかないし……本気で心配した。
……四年前みたいに、また見失ったら、俺の目の前からいなくなったらどうしようかと思った」

「……ごめんなさい」


素直に心から謝った。


「……でも今、信じてくれたからいいよ」


そう言って千歳さんは私の額に唇をつけた。