リボンと王子様

「だから違うって!
あの日は彼女……相良さんっていうんだけど、相良さんに正式に断るために会ったんだよ」

「……え?」

「大好きな、大切な女性がいるからってお断りをしたら、相良さんも正式に断るために会いに来たって言われたんだ。
相良さんにも幼馴染みの大切な彼氏がいるんだよ。
お見合いは相良さんのお父さんが一方的にすすめた話だったらしい。
気付いた時はもうお父さんの一存で式の日取りまで決められそうになっていて、慌てて連絡を下さったんだ」

「……で、でも……っ。
肩を……」


口に出すだけで胸が痛む光景に顔を歪める。


断るだけなのにどうして肩を抱く必要があるの……?


千歳さんは決まり悪そうに眉を下げた。

秀麗な顔立ちに困ったような表情が滲む。


「……あれは、相良さんの靴のヒールが折れたんだよ」

「……?」


その理由にキョトンとする。


「お見合いをお互いに正式に断ることで話が終わって、帰ろうとしたんだよ。
あっ、話してた場所はあのホテルのティーサロンだからな!
そしたら相良さんが、後から迎えに来る予定になっている幼馴染みが好きなお菓子を買いに行くって言って」

「……?」

「そうですか、って相槌を打って、ホテルのエントランスで別れたら、店の場所がわからないって言われたんだよ……仕方がないから店まで送って、帰ろうとしたら、相良さんが地下街でバランスを崩して転びそうになって……」

「……ヒールが折れた?」