リボンと王子様

「……穂花に嘘をつかれたことは正直悲しかったけど、その状況を作ったのは俺でもあるから。
俺を傷付けた、裏切ったって穂花は言うけど……そんなことない」


吐息がかかりそうな距離で、懇願するような瞳を私に向ける千歳さん。


「……夢じゃないの?
私、まだ、間に合うの?
千歳さんを……好きでいていい……の?」



必死に吐き出した言葉は震えていて。

実感がない。



「当たり前だろ?
俺は穂花と別れるつもりなんて全くない!
……穂花は?
俺が嫌になった?
俺と別れたかった?
俺と離れている間に他に好きな人、できた?
そいつと浮気、した?」

「なっ……できてません!
う、浮気って……そんなのしてません!
する筈ないでしょ!
し、したのは……千歳さん……でしょう……」


最後の反論の言葉は涙で言い切れなかった。


「は?
浮気?
何で、俺が?
今、言っただろ?
穂花以外、俺はいらないんだよ。
穂花が何て言っても俺は穂花を絶対に離さないからな!」


瞠目しながら一気に話す千歳さんに。

私はみっともなく泣き崩れた。


「……だって、見たもん。
梅田の地下街で、か、可愛い女の人の……か、肩を抱いて……」


半ばしゃくりあげながら話す私に。

千歳さんは慌てて私の両肩を掴んだ。


「違う、違うって!
穂花の勘違い。
あの人はお見合い相手だった人だよ」


お見合い相手。

その言葉に頭を殴られたような衝撃を受けた。


「……やっぱり……その人と……」