リボンと王子様

「……穂花に嫌われたくなかったのは俺のほうだよ。
手離したくなくて、必死だった。
それでなくても四年の時間が経ってて……穂花は四年前の俺の想像よりずっと綺麗で……どうしたら穂花を俺に縛り付けておけるかって本気で考えた」


右肩でくぐもった声が聞こえる。

初めて見る弱気な彼の姿。


ああ、私は。

この人のことをきちんと知らなかった。


誰もが見惚れる華やかな容姿と。

御曹司という立場。

肩書き。


目に見えるものだけを見て、千歳さんの内面が見えていなかった。


どんなに冷静で穏やかで優しい人だって。

嫉妬したり不安になったり悲しくなったり、道に迷ったりする。


愛されることに精一杯で。

自分の嘘を隠すことに必死で。

千歳さんがどんな思いで『好き』を贈ってくれていたのかを考えもせずに。

その気持ちを返せていなかった。



彼をどれだけ不安にさせていたのか気付いていなかった。