大野くんと私の家は反対方面で、駅の中でバイバイをした。
ガタンゴトンと揺れる電車の中で、はぁとため息をつく。
大野くんは、私のことが好きだって、言ってくれる。
でも私は、まだ葵くんのことが好きで……。
大野くんにとって良い返事はあげられそうにないよ。
私も私で葵くんとはもうずっと話せていないし、
……きっと、嫌われているだろうし。
家の最寄駅で降りて、静かな住宅街を歩く。
家に着いて、部屋着に着替えた時、雨が降り出した。
ドサッとベッドにダイブして、目を閉じる。
葵くん、前みたいに女の子達に囲まれるようになった。
作り笑顔も張り付いたままで。
……無理、してないかな。
辛くないかな。
私はそれが心配でしょうがないよ。