-葵side-



***


……何やってんだよ、田中さん。



つまらない先生の話を聞きながら、トントンと指で机を叩く。




チラッと田中さんの席見ると、そこには誰もいなくて。


授業サボるとか、そんな度胸、田中さんにあったなんて知らなかったんだけど。





『な、何でもないっ。ごめんなさい……』





朝も、全然俺と目合わなかったし。


あ、思い出したらちょっと腹立ってきた。



たまに生意気になるよね、田中さんって。




昨日の打ち上げもいつの間にか帰ってたっけ。

おかげで俺は、女たちに囲まれることになったっていうこと、アイツ知らないんじゃねぇの?





「ねぇねぇ、昨日のこと知ってる?」


「え?なになに?」


「田中さんと涼平が、かなり近い距離で一緒にいたってこと」