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夜中の1時半。


いつものように家を抜け出したあたしたちはロッカーの前に立っていた。


今日はお母さんを呼び出す日だ。


あたしとサクは手を握り同時にお母さんの名前を3度唱えた。


この行為ももうすっかり慣れてきた。


夜の旧校舎への恐怖もほとんどない。


「今日も呼び出してくれてありがとう」


ロッカーの中のお母さんがそう言ってほほ笑む。


「母さん、今日はどのくらい話せる?」


サクがそう聞いた。


「今日は2時間はこっちにいられるのよ。ありがとう2人とも」


2時間!


思っていたよりも長い時間にあたしとサクは目を見合わせた。