背が高く整った顔立ちをしていて、美桜と仲の良い男子生徒。


みんなを束ねる力を持っているため涼もクラスの中心的な生徒の1人だった。


涼は席を立つと真っ直ぐ美桜たちのところへと歩いて行った。


「さっきからなんで何にも言わないんだよ」


涼の声は優しかった。


決して怒っているわけじゃない。


その声に花がそっと顔をあげた。


美桜と未来は面白くなさそうな顔で花を睨み付けている。


「盗んだのか盗んでないのか、ハッキリしろよ」


涼の言葉に花が「盗んでない」と、返事をした。


助けを求める捨て猫みたいな表情だ。


涼なら放っておけないかもしれない。


そう思った次の瞬間……涼が近くにあった机を蹴り上げていたのだ。