アカリにはあれが見えていないのだ。


他のクラスメートたちも、2人の喧嘩しか見えていない様子だ。


一体どういうことだろう。


そう思った時だった。


サクと視線がぶつかった。


サクはチラリと灰色のモヤへ視線を向ける。


それだけで何が言いたいのか理解できた。


サクにもあのモヤが見えているのだ。


あたしはすぐにサクの隣へ向かった。


「見えてる?」


「あぁ」


大きく頷くサク。


「あのモヤはどこへ行くんだろう」


モヤは教室を出てどんどん同じ方向へと流れて行く。


廊下にはやじうまたちが集まってきていたけれど、誰もモヤの存在に気が付いていない。


「追いかけてみよう」


あたしはそう言い、サクと2人で教室を出たのだった。