椅子や机を倒し、もはや何を言っているのかもわからないくらい叫んでいる。


「これやばくない?」


「ただの喧嘩じゃないよな」


「どうする? 先生呼ぶか?」


教室内がざわめきだした時だった。


あたしは目を疑った。


2人の口から灰色のモヤが立ち上っているのを見たのだ。


「なに、あれ……」


思わず指をさしてそう呟いた。


「あれって、なにが?」


アカリ首を傾げている。


「ほら、2人の口から出てるあれだよ」


「何ってるの小夜?」


アカリの言葉にあたしは瞬きを繰り返した。


灰色のモヤは教室を出て行っている。