だけど1度崩壊した涙腺は簡単には戻らない。


あたしの頬に涙が流れて、あたしは慌ててそれをぬぐった。


「小夜。お母さんに話してごらん? あと少しの時間だけど、ちゃんと聞いてあげるから」


優しい声でそう言われて、あたしは滲んだ視界でお母さんを見た。


「もっと……もっと一緒にいたい! 沢山話をしたい! 1時間じゃ全然足りないよ!!」


涙の理由をぶちまけるようにそう言った。


こんなことを言ったって意味がないってわかってる。


お母さんを困らせるだけだって、わかってる。


だけど止まらなかった。


お母さんに縋り付いて泣きじゃくる。


サクが困ったような顔をしながらも、その目に涙を浮かべていた。