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家に帰ってベッドに横になっていると、少しだけ夢を見た。


それは両親が生きていた頃の楽しい夢だった。


4人で行った家族旅行の夢。


あの頃あたしたちはまだ小学生だったから、どこへ行くのも楽しくて仕方がなかった。


知らない街の知らない場所。


それらを見て歩くだけでも楽しくて、そこに両親がいればもう幸せで溢れるようだった。


毎日4人で幸せに包まれていたあの頃の夢。


目が覚めた時、あたしは久しぶりに泣いていた。


でも、辛い涙じゃない。


心の中は懐かしさで暖かくなっている。


両親が亡くなってからこんな涙を流したのは初めての事かもしれない。