「本当は悪魔が出てきてしまう前に止めたかった。でも、できなかった……」


花はそう言って視線を伏せた。


「あなたたちのお婆さんにもとても申し訳ない事をした」


「ちょっと、やめてよ!」


慌てて花を止めようとする。


けれど、美桜に手を掴まれて止められてしまった。


「今頃家には警察の人が行ってるはずだよ」


そう言ったのは琴だった。


琴は悲しそうな視線をあたしへ向けている。


「大食いの自分が嫌いだった。こんなに太っているのにそれでも食べたい欲求が止まらない自分が大嫌いだった。でも、小夜が可愛いって言ってくれたとき、本当にうれしかったんだよ?」


琴はそう言いながら涙をこぼし始めた。