「おかしいと思ってたんだよね。花みたいに化粧っ気のない子が化粧ポーチを盗むなんてさ」


美桜がそう言ってあたしを睨んだ。


あたしは奥歯を噛みしめて睨み返す。


「盗まれてたのに、使われた形跡もなかったんだよね?」


未来が美桜へ向けてそう聞いた。


「うん。これはもう誰かが花を落とし入れようとしているんだろうって、すぐにわかったよ」


「嘘ばっかり。あんたたち花を散々イジメてたくせに!」


「演技だよ。花瓶の中の水は綺麗な水道水に変えてあったし、制服にはかからないようにした」


未来の言葉にあたしはサクを見た。


サクは青ざめている。


あたしたちのしてきたことは全部バレていた?


そんなバカな……!


「花は最初から小夜とサクの事を見張ってたんだよ。2人は両親を同時に失ってしまって悲しみに包まれているから、なにかにすがろうとするかもしれない。それがたとえ悪魔の力であっても、見抜く事ができないかもしれないって」


美桜が言う。