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翌日目が覚めたあたしは真っ先にお父さんの姿を確認しに行った。


万が一にでも花の言っていたことが本当なら、お父さんがいなくなっているかもしれないと思ったからだ。


生贄を捧げれば悪魔は帰る。


つまり、お父さんがまたいなくなってしまうということだ。


しかし、お父さんはいつも通り新聞を読んでいた。


その姿にホッと肩を落とした。


「小夜、どうした?」


朝からバタバタと騒がしいあたしに、お父さんは怪訝そうな顔をしている。


「ごめん、なんでもない」


花の言葉を真に受けるなんて、バカみたい。


あたしはそう思い、朝ご飯の準備にとりかかったのだった。