連中にとっては思うつぼだ。


毎日男子生徒を暴行して言う事をきかせれば、好きな物が手に入るのだから。


それはどんどんエスカレートしていき、一か月が過ぎたころには金銭を盗むように要求されるようになっていた。


10円や20円の駄菓子を売って生計を立てているのに、何万円も盗み出すことなんてできるハズがなかった。


だけど連中に抵抗することはできない。


悩んだ末、男子生徒は自分の財布から店番代を連中に渡した。


1度渡してしまったから、連中は更につけあがった。


数万円が数十万円に膨れ上がるのにも時間はかからなかった。


男子生徒はよほど誰かに相談しようと思ったが、それでもなにもできなかった。


誰かに言おうとすれば吐き気が込み上げてきて、自分がイジメられていることを他人に知られることが恐ろしくなった。


言葉は喉の奥に飲みこまれてしまい、誰も男子生徒の異変に気が付く事ができなかった。