すぐにお母さんの名前を3度唱える。


ジッと目を凝らして暗いロッカーの中を見つめた。


いつもなら空間が歪んで見えるのに、今日はなにも見えない。


「出てこないな」


サクが小さく呟いた。


「まさか、時間が過ぎてたとか?」


いつものように余裕はなかったし、タイミングを逃したのかもしれない。


「そんなハズはないよ。俺は時計を確認してたんだから」


サクはそう言って手に持ったスマホを見せて来た。


時間は2時1分になろうとしている。


「じゃあなんで?」


あたしはそう言いながら懐中電灯の明かりをロッカーへ向けた。