それから10分ほど経過した時、よくやくサクは祖母を離した。


手を離すと同時に床に崩れ落ちる祖母の体。


あたしは座り込んだまま茫然とその様子を見つめていた。


サクは肩で呼吸をしている。


ゆっくりとこちらをむいたサクの目には涙が浮かんでいた。


同じになってしまった。


少年院へ入った人とサクは同じだ。


あたしも、見ていながら助けなかった。


人を呼ぼうともしなかった。


同罪だ。


「どうする……?」


サクが震える声でそう聞いて来た。


あたしはどうにか立ち上がり、祖母の死体を見おろした。


もうピクリとも動いていない祖母は、こんなにも小さかったかと悲しくなった。