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時間が早かったからか、美術部にはまだ顧問の先生1人しかいなかった。


事情を説明すると、先生はすんなりとあたしを部室に入れてくれた。


木製の机が並ぶ美術部はどくとくの雰囲気がある。


棚の上には石膏像がズラリと並び、棚の中には作り物のフルーツやお皿が置かれている。


これらを使って絵を描いているんだろう。


「これが俺の絵」


美術室の一番奥のイーゼルに置かれていた絵の前で弘樹は立ち止まった。


そこには学校の部活風景が書かれた水彩画があった。


空の青に白い雲、そしてグラウンドの様子がとても丁寧に描かれている。


ひと目見て綺麗だなと感じた。


「すごいね。とても綺麗」