「なになに? なにがすごいんだ?」


クラスメートの小田弘樹が騒ぎを聞きつけてやってきた。


弘樹はたしか嫉妬だったっけ。


あたしはそう思いながら弘樹のスペースを開けてあげた。


雑誌を見た瞬間弘樹の顔色が変わる。


あたしはそれを見逃さなかった。


「そっか、受賞したのか……」


「あぁ。弘樹は結局出さなかったんだっけ?」


「あ、あぁ。まあ似合わなかったんだ」


弘樹はそう言い、笑顔を浮かべた。


だけどその笑顔も随分とひきつっている。


「弘樹も絵を描いてるの?」


そう聞くと、弘樹は頷いた。


「一応な。俺の家母親がいないなら放課後も学校に残れなくて、部活もできないんだけど、独学で勉強したり、時間がある時に美術の先生に教えてもらったりしてる」