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両親が死んでしまう前の日々に戻れるなら、きっとどんなことでもできる。


そんな気はしていた。


けれど、逮捕されるようなことだけはできない。


両親がロッカーから解放されても、自分が少年院にいたんじゃ意味がない。


やっぱり、人に感づかれないように汚い心を引き出して行くしかないんだ。


「次は誰にする?」


サクにそう聞かれて、あたしはクラスメートたちの顔を思い出していた。


「強欲のサヤは?」


あれが欲しい。


これが欲しい。


そう言っているサヤの欲望の鍵を開けてやれば、モヤは沢山集まりそうだ。


何かを手に入れるためにサヤがどこまで汚いことをするのかにかかっている。


「いいかもしれないな」


サクが返事をしながら眠そうに欠伸をした。