「これ食べます?新作のお菓子です」

そう言ってポケットからミニチョコを取り出す。

だからイヤなんだ。この女だけはなにを考えてるかさっぱり読めない。


「チョコ嫌いですか?」

「ってか転んだままで言われても困る」

「あ、起き上がるの忘れてました」


よいしょっと、重そうなリュックに足を取られながら菅原は立ち上がる。

地面に上にスライディングしてきたくせにスカートについた汚れは気になるようでパンパンと2回叩いた。


「じゃ、小田切くん。私急いでいるので!」

「じゃ、じゃねーよ。膝から血出てるけど」

「あ、本当だ!気づきませんでした!」

「………」

たぶんコイツとの相性の悪さだけは学校で一番と言えるほど、なにを考えてるのか分からない。


女のタイプはとくにないけど、元カノたちは全員美人だったし年上が多かった。

お金にも気持ちにも余裕がある年上は付き合っていて楽しかったし、別れ話もこじれたことはない。

だから分析すると俺はだいたい3~5つぐらいの年の差で恋愛経験が豊富なお姉さまのほうが合ってるということだ。