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「心霊スポット??」

「うん!サークル仲間と行くんだけど織(おり)も来ない?!肝試し!!」


大学一年生の夏、友達から持ちかけられたのは夏の定番と呼べるようなイベント。

目の前で意気揚々と目を輝かせている彼女は、どうやらそれを楽しみにしているらしい事が見て取れる。

対する私は気乗りなんてしない。

霊なんてものは生まれてこのかた見た事等無いので、恐ろしいだとか、怖いだとかそんな感情は持ち合わせていない為、行くこと自体に別段反論はない。

それよりも、夜だろうと外に出れば蒸し暑いだろうし、虫だって沢山寄って来るだろう。それを想像するだけで嫌になるのだ。


「う~~ん?行く気ない?」

「えっ、いやぁ……、行くよ?いついくの?」


私の気乗りしない様子を察したのか、先回りして問いかけてくれたのだが首を横に振って承諾する。

嫌になる事は個人的な問題で、断るには弱い。

何より地元ではない他府県で独り暮らしを始めた為、どんな付き合いであろうと此処で誘いを断るのなんて得策ではない。

肝試しの次の日に私抜きで和気あいあいと前の日の話をされて、置いて行かれるのなんてごめんだった。


「えっとねぇ、今日の夜!!」


でも、ちょっとだけそんな見栄を後悔したことは私の中に押し込めて置く事にする。

いくらなんでも急すぎるだろう。と思った事も。