ぞろぞろと男の子三人は歩いていく。
けれど、私はその人形と目が合ってしまい、動けずにいた。
クリっとした可愛らしい黒い目。なのに光は宿らない。先よりも何処か物憂げな表情に見えてしまう。
「ね、ねぇ。これ、元の所に戻すって」
その人形を見つめたまま奥に声を掛けるのだが、聞こえてはいないようで返答はない。
しかし、このままでは気掛かりなので仕方なく私が戻そうと手を伸ばした。
が、その手は他の手によって阻まれる。
「ねぇ織、そんなのいいから。置いて行かれる方が怖いよ」
「え、でも……」
「いいから」
すっかり怯えた様子の彼女は、それでも人形を気にしてばかりの私にむしろ苛立ちさえ覚えているように強引に手を引っ張った。
私も情けない事に何も言えずに再び肝試しに戻ったのだった。


